Bright!FRONTEO Official Blog

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ものづくりとは未来づくり ――職人技術×ITの融合でワクワクしながら社会課題を解いていく

2023年9月12日
 
プログレス・テクノロジーズ株式会社は、大手メーカーの設計開発支援サービスからスタートし、高い技術力で顧客に寄り添い、課題を解決する「技術特化型企業」としてデジタルものづくりを推し進めてこられました。顧客が真に抱えている課題とそれを解決するためのソリューションをオーダーメイドで提供し、顧客と共に課題解決を目指すのが自社のスタイルだと語る中山 岳人 代表取締役は、ものづくりの原動力となるワクワク感を想起させる挑戦者の目をしていました。
エンジニアの技術と最先端ITが融合することで、どのような世界ができていくのか。これからの真の共創社会のあり方について語っていただきました。
 
 
起点は「人」と「現場」。AIは人を超えることはない


―― ものづくりにおいてどのような世界を創りたいか、起業のきっかけなど含めて教えてください。

中山:私は32歳の時に起業したのですが、それまではいわゆる大手の外資系IT企業で、海外のソリューションを提供してきました。ただし海外のソリューションをそのまま日本企業に導入しても現場にそぐわないことも多々ありました。本来、その企業にあった形にチューニングをして展開しなくてはいけないのに、IT技術が主導の押し付け型になっており、結果はうまく出ませんでした。現場のことを理解し、その課題に適した処方箋を調合できる企業が必要だと感じていました。
製造業はすり合わせの文化です。1+1が必ずしも2とは限らないし、答えが複数あってもいい。特に日本のものづくりは、より人間のノウハウ、経験など、数値化できないものが多い。そういったものをデジタル化していいものを早く作りたいという事にうまく融合させるための解はあるはずです。

世界の最先端技術と現場のもつ課題をうまく融合して、最適な形でお客様と日本のものづくりを伴走する企業を創ろうと思い、プログレス・テクノロジーズを立ち上げました。自分たちでものづくりをしたことがないのに、メーカーにものづくりのツールを提供するという違和感を解消するために、プログレス・テクノロジーズではものづくり事業にもかかわっています。私たちの技術やサービスが日本の製造業の発展につながり、日本が世界ナンバーワンのものづくり国であり続けてほしいと願っています。

守本:FRONTEOはもともと訴訟支援からビジネスをスタートし、証拠である電子データを解析するためにITを始めました。一方で、解析しなくてはいけない情報を作っているのは「人」です。ITで解析を進めても完璧に証拠を見つけるところまではたどり着けません。ある程度は絞り込めますが、最終的には弁護士などその分野のエキスパートが見つけ出します。まさにAIでは超えられない「人の勘」が必要になります。
この「人の勘」を再現する技術として生まれたのがFRONTEOのAI「KIBIT(キビット)」です。
KIBITはエキスパートの「勘」を持っている人たちと、解析情報となる情報とのインターフェースになっていて、技術先行ではなく実用化の中で発展してきました。そしてKIBITの活用プロセスにおいていま注力しているのが、エキスパートの勘を持っていない人でも使えるようにすることです。
昨今はどうしてもAI技術ありきで自分たちのビジネスにあてはめようとしますが、それが実用化できるものにしなければ社会実装とはいえません。

中山:実用化は非常に大切です。起点はIT技術ではなく、各企業のメーカーが持っているコアの部分の技術でありノウハウです。それこそが本当の企業の強みなのに、世の中に最先端IT技術を導入すれば会社が良くなると思ってしまう。自分たちの強みのコア技術をデジタル活用したら、どう変化できるのかを考え、ITを使うかどうかを選ぶべきです。

守本:同感です。会社によってノウハウは違うので。このノウハウが違う自分たちの強みをどう生かすか、という視点に立たないとAIや技術を使いこなすのは難しい。

中山:プログレス・テクノロジーズはこの問題に対し、お客様の課題にあわせてオーダーメイドで仕組みを作り、現場に定着するまで入りこんでお客様を伴走していきます。そこまで行うのが私たちのソリューション提供の姿です。お客様のことだけを考え、ワンストップソリューションで課題解決を実現するという姿勢はFRONTEOさんと共通していますね。

 
 
現場とIT技術の融合でゼロワンを生み出す世界になる
 

―― 現場とIT技術がうまく融合したらどのような世界が作られると考えていますか。

中山:今作っているものを徹底的に効率化し、良いものを正確に作れるようになると、作業自体はぐっと減ります。
今の日本メーカーの弱みは、ZERO to ONEをほとんどやれていない。もともとあるものを流用設計することがほとんどです。
そこで、一度作ったものは徹底的にテクノロジーの力でデジタル化して効率的に作り、技術者の叡智は新しいものを生み出すことに注力する。現状、日本のメーカーは新技術を生み出すことがほとんどできておらず、もともとある製品の品質を良くするとか、コストダウン設計ばかりになっています。そういうことは徹底的にデジタル技術に任せて、今いる人たちは新しいものを生み出す ZERO to ONEに手をまわせるようになると、また日本から世界に通用するユニークで品質の高い、世の中の課題を解決できるようなものを生み出して面白い世界になっていくはずです

―― 共創の社会というのはどういうイメージでしょうか。

中山:これまで日本のメーカーは、基礎研究から製品の開発、設計、製造、販売、保守まで1社で完結し、実際に実現してきました。ただ世の中は日々複雑化していて、技術も要求も増え、考えなくてはならないことが無数に出てくる中で、スピードも技術レベルも1社では追いつけない状況になっています。
課題解決にはさまざまな技術が必要になります。自分たちが不得手なことは得意な会社と共創しながらものづくりをしていかないと、世界と戦えなくなります。
これまでの「共創」は、自分たちを頂点において、ピラミッド型のようにサプライヤーとなる下請けがいる、いわば主従関係のようなものでした。私が目指す姿は、完全に対等な関係で、お互いが新たなものをつくり上げていく、真の意味での共創の世界です。

守本:確かに現状は変えなくてはいけない課題です。新たなソリューションを企業に提案しに行くと、これが本当にこのまま実用化できるものかと言われることがあります。一緒に実用化できるものにしていこう、というスタンスではないんですね。それを変えることに苦慮しています。

中山:プログレス・テクノロジーズは、会社規模は大手とはいえないしネームバリューといえるブランドを持っていないかもしれませんが、最後はそういうものではない世界があります。目の前で起きている課題を一緒にチャレンジできる仲間、それこそが共創です。
一緒に戦う仲間になることで、自分だけではできないことの背中を押したり、時には先に走って先導するくらいの関係性を築いていくと、お客様もワクワクを感じてくれるようになります。

 

 

共創の社会で一緒にワクワク感を持つことが人とビジネスの原動力になる
 

―― 共創の社会の形成において、課題となるものはなんですか。

中山:主従関係を解いて、対等なパートナーになることです。
今の大手コンサルではツールの提案や、コンサルの進言をする、求められた人材を派遣して終わり、というやり方が多いです。プログレス・テクノロジーズは主従関係を解くために現場の中に入って、一緒にやる、一緒に汗をかくことを徹底しています。現場の人は、もちろん最初から信頼してくれるわけではないですが、課題があり、困っていて、答えがわからず、このままだと危ないと感じているので、そうした本音を引き出せる間柄になること、パートナーシップを作ることが必要だと思います。

守本:同感です。いまの現状で感じるのは、どんなテクノロジーもブランド名があるツールが選ばれていること。本来、課題に適した対策が必要なのに、内容よりもネームバリューでツールを導入している傾向が否めません。仮にうまくいかなくても、このブランドの製品なら失敗しても許容されると考えられているからです。この雰囲気を崩すためにどうしたらいいのかを常に考えています。
訴訟の場においても、米国では著名な弁護士をたてられることがあります。実際にはその分野に精通していない弁護士でも、著名だからという理由で支持される。この人なら失敗しても仕方ないと思われる。好ましくない傾向です。

中山:そうした判断でも、会社が成長し続けられるならいいと思うのですが、現在はそうならなくなってしまった。だからこそ、本気で「この状況はまずい」と思っている人を見つけていくことが必要です。
会社の中にはさまざまな方がいます。技術を評価している人、実際にデータを解析する人など。ただ、本当のビジネス上の脅威やリスクを感じている人と、ツールを導入し評価する人は別のことが多い。私たちは前者にアプローチしなくてはいけない。日本の中にはそうした人は少ないですが、彼らを応援しなくてはいけないですね。

守本:AIの分野では、GAFAのような企業が真っ先にあげられますが、彼らはもともとAIが強かったわけではありません。ビジネスが成功し、会社が大きくなったので、彼らの作るAIであれば何かすごいことができそうだと感じてしまう。
そうなってくると、業績を上げ、売上を作り、ネームバリューを高めることが重要になってくる。イノベーターを見つけて一緒に課題解決の技術を作り拡大させ、世の中に広めることが必要だと感じます。同時に、数の論理も必要になります。プログレス・テクノロジーズさんのような、同じ考えを持つ企業と共創し、イノベーターの数を増やしていく努力をしていきたいです。
たとえば、日本のエンジニアは、トラブルが起こったときに、ここが危なそうだとあたりをつけてアプローチをしていきます。ただし海外のエンジニアはゼロからすべて調べて、一から怪しい部分を見つけていきます。
どちらのアプローチがいいというわけではありませんが、わたしたちはこの勘どころを見つけるための仕組み化をどうしたらできるか、と考えています。さきほどおっしゃっていたように、強みをいかにエンハウスしていくかのアプローチをしている人たちを増やしていきたいです。

中山:いわゆる勘・経験・度胸(KKD)、ものづくりはまさにそれです。この辺が壊れるとこうなるとか、勘と経験と度胸をどのように見える化して伝承していくか、それが人の頭の中や文章やデータ、図面などさまざまなところにある技術・ノウハウを可視化していって、最新デジタルツールにかけ合わせてはじめてうまくいく。掛け合わせる元がないのにスーパーコンピューターだけ持ってきても何も答えは出ません。そこはきちんとした仕組みが必要だと思います。

 

 

ものづくりは未来をつくることーチャレンジすることがワクワクの源
 

―― 中山様がお考えになる「ワクワク」とは?

中山:子供のころってワクワクしていましたよね。おもちゃをつくっていても秘密基地をつくっていても無我夢中になるくらい。
お金も体力もない子供時代にこんなにワクワクするなんて、大人になったらどのくらいのワクワクが待っているのだろうと希望を抱いていました。
ただ、現実はそうではなくて、大人になるにつれてワクワクする瞬間がなくなっていくんです。なぜかと考えたときに、自分が見たことのないものを見に行く感覚―あの山の向こうに何があるんだろうとか、作ったことがないものは何だろうとか、「チャレンジ」することを大人はしなくなることに気付きました。費用がないとか、リスクがあるとか、さまざまな理由でチャレンジの機会が失われて、いま見えている世界の中の、さらにその一部を作業としてやってくださいという仕事を与えられて、果たして「ワクワク」できるのでしょうか。

ものづくりは未来をつくるものです。だからワクワクするんです。
より安くなるものをつくりました、という話だけではワクワク感は少ないです。本当にやらなければいけないことは、難しいし大変だし笑われるかもしれないけど、チャレンジするということ。プログレス・テクノロジーズはできることよりできないことに挑み、「風通しは良く。あきらめは悪く。」「無謀だと笑う声には、希望だと切り返す。」というブランドステートメントの一念でずっとやってきました。お客様が新規技術を持ってきて、何かを新しいものをやりたいと思っている、プログレス・テクノロジーズは、言われたことをやるのではなく、彼らだけでは「できない」ことを「できる」にしたいと考えています。

我々がアイデアレベルから創造し、ZERO to ONEのチャレンジを繰り返して、世界初の製品化にまで行きついた話や、その時に得た経験やスキルを用いて、自社でメカ、エレキ、ソフト、ITなど全部コーディネイトしてアイデア出しから、技術提案・実施をしますので、お客様も一緒にチャレンジしようと思ってくれます。
そこには失敗しても学びがあるので、みんなの目がどんどん輝きだします。みんなワクワクしてくるんです。
こんなことやあんなことなど、無理難題を一生懸命やりつづけるその感覚が、昔、手探りでプラモデルや秘密基地を作る感覚と一緒で、当時の気持ちの昂ぶりを思い出す。
収益となるビジネスを確立する一方で、新たなチャレンジも忘れない。そのためにも、仕組みができあがっている仕事はITで徹底的に効率化して、余った力で新しいことにチャレンジを行い、ワクワクを見出す。そういうことを目指しています。

 

 

コミットメントとは逃げないこと。果敢な挑戦ができる真の共創社会を目指す
 

―― コーポレートミッションを通じて、顧客が真に必要とするものはなんですか。

中山:製品先行のご提案ではなく、顧客が何に困っているのか、課題解決の提供をしています。こういう技術があるから使ってください、というスタンスになると、課題の一部しか解決できないことが多い。そうではなく、課題全体を解くためのテクノロジーソリューションを用意する必要がある。顧客の課題を聞いてそれに合わせて解決策を処方する、病気と薬のようなオーダーメイド対応がソリューション提供の本来の姿だと思っています。

守本ツールが起点になるのではなく、現場を起点にした考え方ですね。

中山:現状だけでもなく、次はどうなりたいかも必要なので、「as is(現状)」と「to be(将来なりたい姿)」の両方を処方することも重要です。もし現状のままでいいという事であれば、余計なものは提供しません。会社も人格を持った人の集まりです。用意されたツールに沿った姿を目指すのではなく、自分たちの強みがあるからこそ、こうなりたい、という姿があるはずです。それを一緒に考えます。それぞれの人が思っている強みと、その人がなりたい姿を重要視します。

 

―― 共創社会におけるコミットメントはどのようなものでしょうか。

中山一言で言うと「逃げない」ということです。一緒に汗をかいて、全力で最後まで頑張ること。もちろんビジネスなので、契約は重要ですが、最後は人と人です。可能な限り、制約状況のなかでコミットメントすることを重要にしています。

守本:「逃げない」、という言葉にとても共感します。
ビジネスにおいて厳しい状況に直面すると、言い訳を探して正当化してしまいたくなりますが、それは要するに逃げです。何があっても逃げない、コミットメントとはそういうもの。新しいものを作ることは成長そのもので、「できない」を「できる」にするのは簡単なことではありません。できない理由を探してしまうと成長しなくなってしまう。無謀なチャレンジに向かっていけるような人が必要です。

中山:人だからこそ「なりたい姿」に向かって無謀ができます。チャレンジをするためには「人」であることが大切です。いま、「ない」ものを作り出すエンジニアの人たちが財産そのもので、私自身とても尊敬しています。そういう想いから、エンジニアがそのスキルを最大限に発揮できるよう教育の機会を設け、無謀とも思えることにチャレンジできるような意識づけや環境整備をしていくことを、ミッションのひとつに掲げています。

 

―― 両社のバリューはどのように人から生まれてくるとお考えですか。

守本:FRONTEOの熱意・執念・感動は、人が成功していくサイクルです。最初に夢があり、熱意をもって動き出す。それをコミットメントするためには執念が必要。成功するまで工夫してやりつづけるという逃げない姿勢。その結果、たどり着いたところに感動があり、それが次の夢と熱意につながっていく。
ただ、最近思う事もあって、このサイクルを自身でできる人とできない人がいることです。できないことがダメということではなく、熱意・執念・感動のサイクルを会社が作り、従業員にいち早く感動を体験してもらってサイクルを自走できるようにしていくことが必要だなと。もちろん、自分でサイクルが作れる人たちもいるので、周りの人たちにも感動を共感できる仕組みを作れるようにしたい。

中山:プログレス・テクノロジーズもワクワク・挑戦・徹底主義を掲げていますが、よく似ていると思います。価値は、どこかから持ってくるものではなく生み出されるもので、自ら感じるものです。新しいことに挑戦しないと生まれてこない。ただ、人は元来コンサバティブな生き物で新しいことへのチャレンジは基本的に怖いし、やりたくない。だけど、やったことないことをやるからドキドキして、それを超えたときにワクワクして感動する、それは中途半端な覚悟でできるものではないです。やるからには徹底的に覚悟を決めなければならない、そのような思いでワクワク・挑戦・徹底主義という言葉を入れています。

 

―― 今後の展望について教えてください。

中山:事業として、お客様の課題を解いていくソリューション事業に注力しています。
解かなければいけない課題もどんどん増えて大きくなっていくと、自社だけでは技術が足りなくなってきます。技術をもっている会社同士がタッグを組んで、一緒に世の中やお客様の課題に取りくむことが必要です。日本の中で競争し続けるより、課題を乗り越えていくという点でお互い協力しあう、真の意味の共創を実現させて、日本あるいは、世界の社会課題を解くことにチャレンジをしたいです。何か面白いものを生み出す開発会社であると同時に、世の中の課題を解決する会社であり続けたい。お客様と一緒にZERO to ONEで世界を変えていきたい。果敢に挑戦する企業になりたいですね。

守本:日本の技術は本当に価値あるものです。日本の強みである製造の部分、匠の技や職人の勘などを生かせる社会にしたいです。FRONTEOは世の中の課題を解決するエキスパートの判断を支援するため、人の機微の部分を技術的に再現して展開しているので、日本の製造業をより発展させていけると考えています。AI企業としてではなく、社会課題を解決するソリューション提供企業として、世界に対して日本発進の考え方、取り組みを一緒にやっていきたいですね。

中山:日本はものづくりの国です。日本には世界ナンバーワンでいてほしいと考えています。
企業として個性を持ちつつ、チャレンジができるからこそ、大手企業の力を最大化させる起爆剤になれると思います。真のソリューション提供企業として、共創社会を目指していきましょう。

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