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【講演レポート】AI活用カンファレンス <ビジネスインテリジェンスセッション> 営業日誌の分析により、お客様満足度や従業員満足度を向上する営業パターンを発見

2016年8月29日
営業本部 営業支援グループ

7月29日にユーザー企業様をお招きして開催したFRONTEOローンチ記念イベント「AI活用カンファレンス」では、ヘルスケア、ビジネスインテリジェンス、マーケティング、リーガルの4分野における人工知能「KIBIT(キビット)」の活用事例を、20分間のセッションでご紹介いたしました。

この記事では、当日のセッションの内容を順次ご紹介させていただきます。

2つ目のビジネスインテリジェンスセッションは、ある地方銀行において人工知能「KIBIT」が営業日誌から顧客満足度(CS)や従業員満足度(ES)を見える化させる抽出した事例のご紹介です。株式会社電通国際情報サービス VCFエバンジェリストの江上 広行氏にご登壇いただき、FRONTEOのビジネス開発グループ 部長の三邊達也が進行役を務めました。

金融機関に求められるお客様満足度、従業員満足度の向上

江上氏は、まず現在の金融機関を取り巻く環境から話を始めました。

「従来、金融機関は数字や定量的なデータを取り扱うことを得意としており、財務データや取引データを解析しながらリスク管理をしていく金融工学を発展させてきました。一方、昨年頃から金融行政方針が変わり、金融機関・金融システムの健全性を守るだけでなく、地域経済に貢献していく役割が今まで以上に求められるようになっています」

つまり、お客様にどれだけ貢献しているか、信頼をどれだけ得ているか、長期的な関係で業績の向上にどれだけ貢献しているか、そうした満足度という視点が重要視されるようになったのです。

「こうした満足度を把握するには、従来の解析手法では困難であり、解決法として人工知能の活用を考え始めました」(江上氏)

株式会社電通国際情報サービス 金融ソリューション事業部 VCFエバンジェリスト 江上広行氏

数値による管理ではもはや限界に

江上氏が所属する電通国際情報サービス(ISID)は、事業の大きな柱のひとつに金融ソリューションがあり、例えば、地域金融機関向け業務支援システム「BANK-R」(http://www.isid.co.jp/solution/finance/bankr.html)などを展開しています。

江上氏は、地方銀行入行を経て、現在はISIDで、主に地域金融機関向けサービスの企画・組織改革・業務改革のコンサルティングを行っています。そして、その事業の一環として、ある地方銀行に人工知能「KIBIT」を用いた顧客満足度・従業員満足度の検出プロジェクトを実施しました。

お客様や従業員の満足度を考える時、2つの要因があると江上氏は説明します。「これは、フレデリック・ハーズバーグの「動機付け・衛生理論」という考え方ですが、ひとつは不満を解消する方法です。たとえば、この部屋が暑苦しければ冷房をきかせて涼しくする。銀行であれば高い金利を安くする、時間のかかるサービスを早くする、と言ったものです。このような要因は、数値化しやすく分析しやすいと言われています」これを衛生要因といいます。しかし、冷房がきいて適温になったからといって、不満足が解消したとしても満足度が高まるわけではありません。

「満足度を向上させるもうひとつのは、「動機付け要因」とよばれるものです。これが、お客様や従業員の満足を高めるものとして適用できます。お客様にとってはアドバイスをしっかりしてもらえる、寄り添ってくれる、共感してもらえるといった具合です。従業員あれば、お客様に貢献している、仕事が楽しい、自分らしくあるといったものです。

このような要因は、数値化が難しく、あいまいなテキストデータになっていることが多く、これまでは簡単に抽出し、分析することができませんでした」と江上氏は語ります。

営業日誌に埋もれた成功事例に着目

今回、江上氏が手掛けた地方銀行の事例では、不満を解消して満足度を向上させる、数値による管理を実施していました。「このような手法でも、短期的には業績が上がります。しかし、長期的にみると信頼感が低下し業績にも悪影響を与えることになります」

そこで江上氏が着目したのが営業日誌でした。「どのお客様を訪問して、どのような話をして、どういった提案をしたのか。また、それらに対して、どんなご要望をいただいたのか。銀行では、こうした営業日誌が年間に数万件という単位で蓄積されています。」

ひとつの例を挙げると、営業日誌には、このようなことが書かれています

「『“さすがだね。だから君に相談したんだよ”とたいへん喜ばれ感謝の言葉をいただく』。これはお客様満足度のとても高い日誌です。このような営業日誌のテキストデータをうまく分析することができれば、どの営業がどういった成功事例を持っているのか、どの支店が成功事例を持っているのか把握することができると考えました」(江上氏)

教師データから満足度の高い行動パターンを見つけ出す

そこで江上氏は人工知能「KIBIT」を使い、営業日誌の分析を進めることにしました。

「最初に、地方銀行本部のご担当者様に営業日誌を目視でチェックしていただきました。すべての営業日誌をチェックすることは時間的にも労力的にも難しいので、1,500件の営業日誌からお客様と営業担当に満足いただいている優良案件50件を選定しました」

その50件を教師データにして、1,500件の日誌を「KIBIT」で分析するとスコアリングされます。この時の満足度の高い営業日誌を教師データに置き換え、また1,500件をスコアリングします。そうすることによって、これまでは満足度がそれほど高くないと思っていた営業日誌が、よく読んでみると実は満足度の高い営業日誌だったと再発見できたそうです。

「これを4回ほど繰り返すことで、お客様や従業員の満足度が高い行動パターンの約90%を見つけ出すことができました。1回の分析に要する時間は、ほんの3分程度です。担当者の方が、1回離席して席に戻るともう結果が出ていたなんてこともありました。ご担当者様は大変満足されていました」(江上氏)

株式会社FRONTEO 営業本部 ビジネス開発グループ 部長 三邊達也

 

ますます重要性が高まるお客様満足度と従業員満足度

日本企業のお客様満足度や従業員満足度の取り組みについて、江上氏は懸念を持たれていると言います。

「今月に北欧の銀行を視察する機会があったのですが、そこでは支店ごとのお客様満足度をすべて計測して、全店に発表するといった取り組みを実施していました。満足度が低い場合は徹底して改善の指導を行っています。人材についても、モチベーション管理を話題にすることが増えています。残念ながら日本ではそうした金融機関は多くありません」

こうした課題は金融機関だけにとどまらないと江上氏は語ります。

「ヘルスケアセッションでご登壇された中尾様の事例もそうですが、小売業やサービス業などお客様との日常の関係性を重要視している業界では、単にサービスを提供するだけでなく、今後より満足度の高いサービスが求められるはずです。

満足度の高いサービス提供について、三邊は次のようにコメントしました。

「確かに、営業日誌に書かれたテキストから、文脈を考慮して意味を読み取ることができれば、しっかりと対策を講じることができます。私もさまざまな企業の方々とお話しをする中で重要性を強く感じています。たとえば、コンプライアンスであるとか、マーケティングであるとか、なにかと埋もれがちな成功事例が、『KIBIT』を活用することで取り出せるのではないかと考えています」

最後に江上氏は次のように語り、セッションを締めました。

「特に、金融業界は金融データだけでなく、さまざまな業界のデータも持っています。これまでは、そのようなデータが宝の持ち腐れになっていたかもしれません。今後『KIBIT』のような技術の活用を通じて金融業界と地域経済の発展に、貢献していきたいと思います」

※このセッションでご紹介した製品・ソリューションの詳細は、こちらのページでご確認いただけます。

http://www.kibit-platform.com/products/knowledge-probe/