このようなeディスカバリ市場の動向を踏まえたとき、FRONTEOの置かれている状況は、特異であるといえます。まず、FRONTEOは、リーガルテックのプレイヤーとして、サービスベンダーとテクノロジーベンダーという二つの顔を持っています。サービスベンダーとしてのFRONTEOが得意としているクロスボーダー案件(米国外の企業の訴訟対応。海外本社と米国本社、米国弁護士事務所、本社弁護士事務所とステークホルダーが多く、且つ各地に分散しているため、案件のコントロールが難しい)は、前述した米国の価格引き下げ圧力を受けづらく、米国内でしか対応できない他のサービスベンダーに比べて有利であること。これはeディスカバリのサービスベンダーのほとんどが米国企業である中で、FRONTEOが日本発・アジア発の企業であることに起因しています。
また、テクノロジーベンダーとしてのFRONTEOは、従来からの強みであった、英語以外の言語が正しく処理できるという強みに加え、言語解析エンジンKIBITを軸に、この数年eディスカバリ以外の領域(金融コンプライアンス、特許情報解析、人事面談記録やエントリーシートといった人事系ドキュメント解析など)において、訴訟の証拠発見以外の解析を目的とする様々な種類のテキストデータの解析の経験を積んでいます。その結果、テキスト解析の汎用的なノウハウと解析エンジンのブラッシュアップが進んでいることが挙げられます。このような多様な解析への対応は、他のeディスカバリのテクノロジーベンダーには見られません。ただ、裏を返せばここ数年は、社内の技術開発のリソースの多くを、新規分野の立ち上げに優先的に費やしてきたとも言えます。
しかし、昨年度eディスカバリ以外の新規事業の黒字化の目途が立ったこともあり、現在はeディスカバリ領域に他分野で蓄積されたノウハウを還元するための新しいAI Reviewソフトウェアの開発を進めています。また、サービスプラットフォームとして2010年からFRONTEOの訴訟支援サービスを支えてきたLit i Viewについても、他のテクノロジーベンダーには見られないオールインワンの良さを保ったまま、スケーラビリティの向上による高速化や、ソフトウェアのUX上のフレキシビリティを上げるため第二世代の開発が進んでいます。
eディスカバリ フロー
第二世代のLit i ViewやAI Reviewソフトの開発を進めるにあたり、我々がサービスベンダーとテクノロジーベンダーの両方の顔を持っていることが極めて重要です。2014年から2016年の間、FRONTEOは3社の米国サービスベンダーを買収しています。米国でのeディスカバリ業務のエキスパートである米国のスタッフと、クロスボーダーのエキスパートであるアジアのスタッフ、テクノロジー部門のスタッフが混然一体となって、新しいプラットフォームの開発を急いでいます。