株式会社FRONTEO
シニアテクニカルエキスパート
石黒 充昭
FRONTEOとしては2008年以来連続12回目の出展となったLegalweek New York(もしくはLegalTech New York)ですが、今回の視察の中で、顧客側の課題として目にする機会が多かったのが「翻訳」と「音声認識」です。日中韓英の4か国語に対応したeDiscoveryやドキュメントレビューのソリューションを提供しているFRONTEOとしては、多言語対応の難しさと重要性は創業当初より十分認識していたことではありますが、Everlaw社のように、「外国語で記録された電子データ(電子メール、チャットの会話など)」を「リスクにつながる恐れのあるデータ(ダークデータ)」として認識する企業も増えてきています。同社では、電話での会話やミーティングの記録を音声認識してテキスト化し(書き起こし)、文書が書かれている言語を自動的に特定し(言語特定)、翻訳するという一連のサービスを提供し始めています。企業のグローバル化が進む今、この音声認識、翻訳という課題への対応が急がれることになりそうですが、会場を回った限りでは、アジア言語への対応を謳っている企業はFRONTEO以外には少なく、まずはヨーロッパ言語への対応から、といった状況でした。
これまでもLegalweek (LegalTech)New Yorkには何度も参加していますが、その年によってトレンドは大きく変化しています。今年のソリューションのトレンドは主に、ドキュメント(主に契約書)管理のソリューションや、eDiscoveryの作業工程を効率化してくれる技術でした。また、以前より減少傾向であった“Forensic Tool”ベンダーはほぼ出展していませんでした。これは企業の法務部や弁護士事務所(の弁護士、パラリーガル)が主に参加するLegalweek(Legaltech)ではなくHTCIA(High Technology Crime Investigation Association)が主催する主に法執行機関の捜査官向けイベントに注力するためのようです。
契約書管理の分野では、ドキュメント(契約書)のテンプレートをいくつか用意しておいて、お客様ごとにカスタマイズして電子署名するという一連の作業がすべてオンラインで行えるソリューションが数多く紹介されていました。契約書の内容はお客様によって当然のように異なるので、テンプレートとの差分が把握しやすくなっていたり、「ここはリスクがあるかもしれない」といったことをAIが読み取ってアドバイスしてくれるツールが搭載されていたりしています。日本では、契約書の雛型が用意されていて、それに手を加えながら使いまわすことも多いのですが、アメリカでは、想定できる問題については全て契約書に盛り込んでおく必要があり、テンプレートはあれども、細かいレベルでのカスタマイズが求められるため、「テンプレートとの差分、バージョンごとの差分をわかりやすくする」「リスクのありそうな箇所を教えてくれる」などの機能が重宝されるのは頷けます。
eDiscoveryの分野ではDISCO、Everlaw、Cloudnineなど最近話題になることが多いベンダーが積極的にデモを行っており盛況でした。TAR(Technology Assisted Review)機能も当然のようにありますが、ダッシュボード機能やタッチパネル対応など基本機能である一覧性、ユーザビリティが高くかつ、プロセスからレビュー、分析までが一つのプラットフォーム上で行えることを売りとしています。FRONTEOの自社開発製品であるLit i Viewもよりユーザビリティを高めていかなければと痛感しました。
出展社ブースから見えてくる顧客の課題

出展社のソリューションとして多かったのは、ドキュメント(契約書)管理のソリューションと、eDiscoveryの合理化・効率化を推し進める技術

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