上智大学理工学部機能創造理工学科 竹原 昭一郎 教授が担当する講義「つくるⅡ(キャリア形成Ⅱ)」では、学生が社会に出て企業などの組織の中でより良くキャリアを形成していくための具体的な活動手法を実践的に学ぶことを目指した講座を開催しています。この講座は、ハーバードビジネススクールなどで実行されているPBL(Project Based Learning) 手法に基づき、実践を通して主体性やプレゼンテーション技法を身につけるものです。
FRONTEO代表取締役社長 守本 正宏は、10月7日、本年度の講座で「AIと人類の未来を考える」と題した講義を行いました。
講義をする代表取締役社長 守本 正宏
講義に先立ち、永山 妙子 社外取締役から学生に向けて、本講座では現状分析から将来を予測するなど答えのない課題に取り組み、チームの見解をプレゼンテーションすることで社会に出るための力を伸ばすよう呼びかけがありました。またFRONTEOが20年以上に渡って発展してきた道のりと現在の取り組みを通して、AIとその活用に関する理解もぜひ深めてほしいとのメッセージが伝えられました。
本講義で守本は、FRONTEOの自社開発AI「KIBIT(キビット)」が実社会のどのような場面で活用されているか、専門領域の中でもとくに創薬支援においてどのようにAIを実用化しているかなどを、具体例を交えながら紹介しました。
とくに、AIで人の暗黙知を再現したり、既知情報から未知の関連性を発見したりする「KIBIT」の設計思想と、その核となる“ひらめき”の大切さを強く訴えました。その中で、発明王エジソンの名言を引用しながら「このひらめきは、いわゆるセレンディピティ(偶然の出会い)から生み出されました。KIBITのアプローチはこれを体系的に誘発し、イノベーションをもたらすことができます」と学生に語りかけました。
さらに、近年注目を集める生成AIとは異なる、KIBITの独自アプローチについての守本自身の考えを自社の取り組みとともに説明しました。技術が進化し発展を遂げた自動車において、スポーツカーは速さに優れるが人を大量に運ぶ目的にはバスが最適であるように、AIの世界においても、全ての分野で優れた性能を持つような汎用AIは今も将来も存在しないことを論じつつ、「KIBITと生成AIはどちらもAIですが、それぞれの設計思想があり、得意分野も異なります。KIBITが得意とする“未知の発見を専門家に促して仮説生成を支援する”ことは生成AIではなしえません。一方で、生成AIが得意な文章や絵、音楽の創造などはKIBITは行いません。皆さんはそうした視点を持ち、AIと人類の関係を考えてみてください」と話し、学生たちは間近で語られる熱意の込もった講義に、時折深くうなずきながら聴講していました。
質問の中には、すでに自身でAIの活用に挑戦したうえでの疑問や葛藤も含む具体的な問いかけも見られ、学生のAI技術に対する高い関心と積極的な姿勢がうかがえました。
今後、学生たちは「10年後の世界におけるAIと人類の関係は?」「セレンディピティに必要なことは?」といった議題について考察するグループワークに取り組み、来年1月に最終発表を行います。
FRONTEOは、今後も本講座を通じて、将来を担う学生たちが一層の進化が期待されるAIを正しく理解し、デジタル全盛社会の第一線で活躍するための一助となるよう、支援を継続してまいります。
上智大学理工学部 機能創造理工学科 竹原 昭一郎 教授
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