一般的には3〜6ヶ月の保管が推奨されていますが、業種や取り扱う情報の重要度によっては1〜3年程度の保管が適切な場合もあります。不正が発覚するタイミングは退職後数ヶ月経ってからのケースが多いため、余裕を持った保管期間を設定することが重要です。FRONTEOの退職者PC・モバイル保全サービスでは、お客様のニーズに応じた保管期間を設定できます。
2022年01月01日配信
退職者が使用していたPCやモバイルデバイスのデータ管理は、法務部門とコンプライアンス部門にとって避けて通れない課題です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査によると、営業秘密漏えいのルートとして「中途退職者」が常に上位を占めており、退職者PC・モバイルデータ保全サービスの重要性は年々高まっています。本ガイドでは、日本企業の法務・コンプライアンス担当者が知っておくべき、退職対応プロセスと証拠保全体制の設計方法を詳しく解説します。
退職者によるデータの持ち出しは、企業に重大な損害をもたらす可能性があります。競合他社への機密情報流出による競争力の低下、関係者からの損害賠償請求、社会的信用の失墜など、そのリスクは多岐にわたります。特に近年はリモートワークの定着やSaaSの普及により、「誰にも見られずに、大量のデータを、一瞬で」持ち出せる環境が整っています。クラウドストレージへのアップロード、生成AIへのプロンプト入力、スマートフォンでの画面撮影など、その手口は巧妙化しています。
個人情報が漏えいした場合は刑事罰の対象にもなり、個人情報保護法に基づき法人に対して1億円以下の罰金が科される可能性もあります。「うちは大丈夫」という油断が、取り返しのつかない事態を招きかねません。
社内のIT担当者がデータを管理すれば十分ではないかと考える企業も少なくありません。しかし、法的な争いや確実な証拠保全を考えると、自社対応には重大な問題があります。
通常のデータコピーでは、削除されたデータを復元してコピーすることができません。退職者が証拠を消そうとした場合、「ゴミ箱を空にする」操作やHDDのフォーマットを行うことがあります。通常の方法では、これらの痕跡を取得できないのです。また、社内の人間が調査を行うと、「調査過程でデータが改ざんされたのではないか?」と疑われるリスクがあります。裁判で通用する客観的な証拠とするためには、第三者による適切な手順での保全が求められます。
フォレンジック・コピーとは、国際訴訟水準に則ったデータの「完全複製」を指します。削除した履歴も含めて全てのデータを複製できるため、通常のコピーよりも有用性のある証拠保全が可能です。ハッシュ値(デジタル指紋)を用いて同一性を証明するため、データの改ざんがないことを客観的に示すことができます。FRONTEOの退職者PC・モバイル保全サービスでは、このフォレンジック・コピー技術を用いて証拠能力の高いデータ保全を実現しています。
データ保全サービスを導入する際は、段階的なアプローチが効果的です。ここでは、法務部門とコンプライアンス部門が取り組むべき具体的な手順を解説します。
まず自社の退職者データ管理の現状を把握することから始めます。過去3年間の退職者数、貸与デバイスの管理状況、退職時のデータ処理フローなどを整理しましょう。どのような情報が漏えいリスクにさらされているかを特定することも重要です。顧客データ、技術情報、価格戦略など、守るべき情報資産をリストアップし、優先順位を付けます。
「退職時にフォレンジック調査を行う可能性がある」ことを就業規則に明記します。入社時や退職時に誓約書を取り交わすことで、「見られている」という意識が働き、不正の抑止力となります。退職者のPCをすぐに初期化しないルールも重要です。不正が発覚するのは、退職者が転職先で活動を始めてからのケースが多いため、最低でも3〜6ヶ月は保管しておく体制を整えましょう。
有事の際に迅速に対応できるよう、事前にデータ保全の専門サービスとの連携体制を構築しておきます。FRONTEOは11,000件以上の国際訴訟対応・不正調査実績を持ち、退職者のPC・モバイルから全データを完全複製して安全に保管するサービスを提供しています。デバイスを送付するだけで保全作業が完了し、端末はすぐに返却されるため、次の従業員への貸与もスムーズに行えます。
退職者データ保全で対応すべきデバイスは、PCだけではありません。スマートフォン、タブレット、外付けHDD、USBメモリなど、業務で使用していた全てのデジタル機器が対象となります。
PCからは以下のようなデータを保全することが可能です:ファイルやフォルダの操作履歴、メール・チャットの送受信記録、USB機器の接続履歴、インターネット閲覧履歴、削除されたファイルの復元データ、プログラムの実行履歴などです。WindowsOSとMacOSの両方に対応しているサービスを選ぶことで、社内で複数のOS環境を使用している場合にも対応できます。
スマートフォンやタブレットからは、通話履歴、メッセージ、写真・動画、アプリの使用履歴、位置情報などを取得できます。iPhoneとAndroidの両方に対応しているサービスを選択しましょう。業務用チャットアプリ(Slack、Teams、LINEワークスなど)のデータも重要な証拠となる可能性があります。クラウドに同期されているデータとデバイス上のローカルデータの両方を考慮に入れる必要があります。
退職者による不正の疑いが生じた場合、どのような流れで調査が行われるのかを理解しておくことは、法務担当者にとって重要です。
調査対象のPCやスマートフォンは、電源を入れないことが鉄則です。起動するだけでOSがデータを書き込み、証拠が上書きされる恐れがあります。不審な点に気づいた時点で、デバイスを安全な場所に保管し、専門家に連絡することが重要です。
専門のエンジニアが対象デバイスから全データを抽出し、フォレンジック・コピーを作成します。この段階で、データの完全性を担保するためのハッシュ値が記録されます。
保全されたデータを解析し、「誰が、いつ、何を、どうしたか」を時系列で整理した報告書が作成されます。この報告書は弁護士への相談資料や裁判の証拠として活用できます。
「PCデータはクラウド上に保存されているから安心」と考える企業もありますが、クラウドサービスやシンクライアント環境だけでは十分な証拠保全にはなりません。
クラウド上のデータ保管には期限があり、サービス提供元の都合でデータが削除される可能性があります。また、クラウドに保存されるデータは「完全な複製」ではないため、削除された操作履歴などは残りません。GoogleドライブやDropbox、OneDriveなどの個人アカウントへのデータ転送は、痕跡を残さずに行える(と本人は思い込んでいる)ため、特に注意が必要です。ローカルデバイスの保全と合わせて、クラウドアクセスのログ管理も行うことが求められます。
退職者データ保全を組織的に運用するためには、明確なフローを設計し、関係者間で共有することが必要です。
退職が決まった従業員には、デバイス返却のスケジュールと手順を早めに通知します。最終出社日の前に、業務引き継ぎに必要なデータとそうでないデータを整理してもらうことも重要です。この段階で、退職後の秘密保持義務について改めて説明し、誓約書への署名を求めます。口頭での確認だけでなく、書面として残すことが法的対応の際に役立ちます。
最終出社日にデバイスを回収し、速やかに保全処理を行います。FRONTEOのサービスを利用する場合は、デバイスを送付するだけで、フォレンジック・コピーの作成から安全な保管まで一貫して対応してもらえます。保全処理が完了したデバイスは返却され、次の従業員に貸与できます。データは専門施設で厳重に管理され、必要に応じて調査に活用されます。
万が一、退職者による不正が疑われる場合は、保全されたデータを用いて調査を開始します。事前にデータ保全が行われていれば、証拠集めから始める必要がないため、迅速な初動対応が可能になります。
退職者データの保全と調査には、法的な側面からの配慮も必要です。プライバシーへの配慮と証拠収集のバランスを取ることが求められます。
退職者のデータには個人情報が含まれる場合があります。データ保全の目的と範囲を明確にし、必要最小限のデータ取得にとどめることが重要です。就業規則や誓約書で調査に関する同意を得ておくことで、法的リスクを軽減できます。
営業秘密の持ち出しは不正競争防止法違反となる可能性があります。ただし、法的保護を受けるためには、当該情報が「秘密として管理されていた」ことを証明する必要があります。日頃からの情報管理体制の整備が、有事の際の法的対応を左右します。
データ保全サービスの導入を検討する際には、いくつかの重要なポイントを確認しましょう。
自社で使用しているデバイスの種類(Windows、Mac、iPhone、Android)に全て対応しているかを確認します。また、外付けHDDやUSBメモリなどの外部記憶媒体への対応も確認が必要です。
保全されたデータがどのような環境で保管されるかは重要な確認事項です。セキュリティ対策、温度管理、アクセス制限など、物理的・技術的な安全措置が講じられているかを確認しましょう。
不正が発覚した際に、保全データからすぐに調査を開始できる体制があるかどうかも重要です。FRONTEOの退職者PC・モバイル保全サービスでは、データ保全から調査、報告書作成までワンストップで対応しているため、有事の際にスムーズな連携が可能です。
退職者によるデータ持ち出しは、対策を講じていなければ「いつ起きてもおかしくない」リスクです。しかし、適切な体制を整えることで、このリスクは大幅に軽減できます。
データ保全サービスの導入は、単なる「保険」ではありません。就業規則への明記と従業員への周知により、不正行為の抑止効果が期待できます。「この会社は退職時にデータを調査する」という認識が広まることで、そもそも不正を考える人が減少します。法務部門とコンプライアンス部門が主導して、退職者データ保全の体制を構築することは、企業の競争力と信頼を守るための投資です。FRONTEOは、22年以上にわたる国際訴訟・不正調査の実績と、独自のAIエンジンKIBITを活用した高精度な調査能力で、お客様の情報資産保護をサポートします。
Q.
A.
一般的には3〜6ヶ月の保管が推奨されていますが、業種や取り扱う情報の重要度によっては1〜3年程度の保管が適切な場合もあります。不正が発覚するタイミングは退職後数ヶ月経ってからのケースが多いため、余裕を持った保管期間を設定することが重要です。FRONTEOの退職者PC・モバイル保全サービスでは、お客様のニーズに応じた保管期間を設定できます。
Q.
A.
通常のバックアップでは、現在存在するファイルのみがコピーされます。一方、フォレンジック・コピーでは削除されたファイルや操作履歴も含めた「完全複製」が作成され、ハッシュ値による同一性証明も行われます。これにより、裁判でも通用する証拠能力を持つデータ保全が可能になります。FRONTEOは国際訴訟水準のフォレンジック・コピー技術を用いてデータを保全します。
Q.
A.
会社が貸与したデバイスについては、就業規則に定めがあれば本人の個別同意なしにデータ保全を行うことが可能です。ただし、私物デバイスの場合は対応が異なります。トラブルを避けるため、入社時や退職時に誓約書で調査への同意を取り付けておくことをお勧めします。
Q.
A.
クラウドサービスだけでは十分な証拠保全にはなりません。クラウドに保存されるのは同期されたファイルのみで、削除履歴やローカルでの操作ログは残りません。また、クラウドサービスのデータ保持期間には制限があります。ローカルデバイスの保全と組み合わせることで、より確実な証拠確保が可能になります。
Q.
A.
デバイスの種類やデータ量によって異なりますが、FRONTEOのサービスではデバイスを送付してから数営業日で保全作業が完了し、端末が返却されます。保全処理後のデバイスはすぐに次の従業員に貸与できるため、業務への影響を最小限に抑えられます。
Q.
A.
企業規模に関わらず、退職者による情報漏えいのリスクは存在します。むしろ中小企業では、一度の情報漏えいが経営に与えるインパクトが大きい場合があります。退職者の数や取り扱う情報の機密性に応じて、適切な対策を検討することをお勧めします。FRONTEOでは企業の規模やニーズに合わせたサービス提案を行っています。