予兆検知AIとは、電子メール、チャット、日報、応接記録、通話記録などのデータを分析し、不正やコンプライアンス違反につながる兆候を早期に発見するAIです。
AIがリスクとの関連性が高いデータを抽出することで、担当者によるモニタリングや調査を支援します。
2022年01月01日配信
金融機関では、電子メールやチャット、日報、応接記録、通話記録などのコミュニケーションデータを分析し、不正やコンプライアンス違反の兆候を早期に発見する「予兆検知AI」の活用が進んでいます。
しかし、予兆検知AIは製品によって分析方法や導入プロセス、対応できるデータ、判定根拠の示し方が異なります。近年は生成AIを活用したサービスも登場していますが、導入の手軽さだけでなく、金融機関特有のリスクに対応できるか、個社固有の不正パターンを分析できるか、監査担当者が判定理由を確認できるかという観点も重要です。
本記事では、金融機関が予兆検知AIを選ぶ際に確認すべきポイントと、FRONTEOの予兆検知AIである、メール・チャット監査ツール「KIBIT Eye」の特徴を解説します。
金融機関向けの予兆検知AIを選ぶ際は、次の点が重要です。
特に金融機関では、単に幅広いリスクを検知するだけでなく、各社の業務や商品、組織、過去の不正事例に応じたモニタリングが求められます。
予兆検知AIとは、企業が保有する電子メール、チャット、日報、応接記録、通話記録などを分析し、不正やコンプライアンス違反につながる可能性のあるコミュニケーションを抽出するAIです。
人手ですべてのデータを確認することは現実的ではありません。そこでAIを活用し、リスクとの関連性が高いデータから優先的に確認することで、モニタリング業務の効率化とリスクの早期発見を目指します。
ただし、予兆検知AIが不正を自動的に断定するわけではありません。AIは確認すべきデータを絞り込み、担当者による判断や追加調査を支援する役割を担います。
金融機関では、顧客本位の業務運営、適切な営業活動、情報管理、インサイダー取引の防止など、幅広いコンプライアンス対応が求められます。
一方、業務で使用される電子メールやチャット、通話記録などのデータ量は増加しており、担当者がすべてのコミュニケーションを目視で確認することは困難です。
キーワード検索によるモニタリングも一般的ですが、不正や不適切な行為に関するやり取りでは、明確なキーワードが使用されないことがあります。婉曲表現、略語、隠語、社内特有の言い回しなどが使われると、単純なキーワード検索では見落とす可能性があります。
このような課題に対応するため、文章の文脈や関連性を分析し、注意すべきデータを抽出する予兆検知AIが活用されています。
FRONTEOは、独自開発のAIエンジン「KIBIT」を中核として、金融機関や一般企業向けにコンプライアンス支援ソリューションを提供しています。
20年以上にわたるデジタルフォレンジックや不正調査の知見を持ち、電子メール、チャット、日報、応接記録、通話記録などのテキストデータから、不正やコンプライアンス違反の兆候を検知します。
KIBIT Eyeは、大量の学習データを用意しなくても、20件程度の少量の教師データを基にAIモデルを構築できます。
過去に発生した不正やコンプライアンス違反の事例、監査担当者が注意すべきと判断したデータなどを活用し、自社が発見したいリスクに合わせた分析を行います。
一般的な生成AIを中心とした予兆検知サービスでは、あらかじめAIが持つ知識を使い、教師データを準備せずに分析を始められるものもあります。導入しやすい一方で、個社固有のリスクや過去の不正パターンをどの程度反映できるかを確認する必要があります。
KIBIT Eyeは、少量の教師データを活用しながら、自社の業務やリスクに合わせたモデルを構築できる点が特徴です。
KIBIT Eyeは、単純なキーワードの有無だけでなく、文章全体の関連性を解析します。
そのため、明確なリスクワードが含まれていない場合でも、過去の違反事例と関連性の高いコミュニケーションを抽出できます。
金融機関の業務では、商品名、部門名、略称、社内用語など、一般的な言語モデルだけでは判断が難しい表現が使われることがあります。KIBIT Eyeでは、実際の社内データを教師データとして利用することで、各社特有の表現を分析に反映できます。
金融機関が警戒するリスクは、業態、商品、部門、取引内容によって異なります。
例えば、銀行、証券会社、保険会社では、注意すべき営業活動やコミュニケーションの内容が異なります。同じ金融機関でも、営業部門、審査部門、市場部門などでは、モニタリングの観点が変わります。
KIBIT Eyeは、個社が保有する過去事例や調査ノウハウを教師データとして利用できるため、一般的なコンプライアンスリスクだけでなく、自社固有のリスクに対応したモデルを構築できます。
KIBIT Eyeは、金融機関で利用されるさまざまなコミュニケーションデータを分析できます。
主な分析対象には、次のようなデータがあります。
メールだけでなく、チャットや通話記録なども対象とすることで、複数のコミュニケーションチャネルを横断したモニタリングが可能になります。
金融機関でAIを利用する際は、単にリスクスコアを表示するだけでなく、なぜAIがそのデータを抽出したのかを担当者が確認できることが重要です。
KIBIT Eyeでは、AIが重要と判断したテキストをハイライト表示します。監査担当者は、AIの判定に影響した箇所と原文を確認しながら、実際に追加調査が必要かを判断できます。
生成AIを利用したサービスを検討する場合も、AIが提示した結論だけでなく、どの文章や文脈を根拠として判定したのか確認できるかが重要な選定ポイントになります。
KIBIT Eyeは、PoCによる精度検証を行ったうえで、本運用へ移行することができます。
PoCでは、実際のデータを使って、検知したいリスクを抽出できるか、どのような運用方法が適しているかを確認します。その後、対象データ、確認体制、報告フローなどを整理し、本運用へ移行します。
導入前の準備は必要になりますが、自社のデータと目的に合わせて精度や運用方法を確認できる点が特徴です。
予兆検知AIは、システムを導入すれば完了するものではありません。
検知結果を確認する担当者、問題発見時の報告経路、AIモデルを見直すタイミングなど、継続的な運用体制を整える必要があります。
FRONTEOでは、PoC、AIモデルの構築、本運用への移行、モデルの改善、運用方法の見直しまで段階的に支援します。
デジタルフォレンジックや不正調査の知見を持つため、不正や違反の兆候を発見した後の対応についても相談できます。
近年は、生成AIを活用してメールやチャットを分析する予兆検知サービスも増えています。
生成AIを中心としたサービスは、教師データの準備を抑えながら、幅広いリスクテーマを分析しやすい点が特徴です。クラウド型で提供されるサービスでは、比較的短期間で利用を開始できる場合もあります。
一方、金融機関で利用する場合は、次の点を確認する必要があります。
生成AIを使っているかどうかだけで判断するのではなく、自社が検知したいリスクと分析方法が適合しているかを確認することが重要です。
| 項目 | KIBIT Eye | 生成AI中心の予兆検知AI |
|---|---|---|
| 分析方法 | 教師データとの関連性を解析 | 生成AIが文章の内容や意味を判断 |
| 教師データ | 少量のデータからモデル構築 | 教師データ不要の場合がある |
| 個社への対応 | 自社データを基にモデルを構築 | ※個社固有の情報を反映できる範囲を要確認 |
| 導入方法 | PoCで精度を検証して段階的に導入 | 短期間で導入できるサービスもある |
| 判定理由 | 重要なテキストをハイライト表示 | ※判定理由や根拠の表示方法を要確認 |
| 出力の性質 | 学習した教師データとの関連度をスコアリング | ※モデルやプロンプトによる出力変動を要確認 |
| データ管理 | 導入環境や要件に応じて設計 | ※外部AIへの送信や保存方法を要確認 |
| 適した用途 | 個社固有のリスクを継続的にモニタリング | 幅広いリスクを早期に分析したい場合 |
どちらが一律に優れているということではありません。
導入のスピードや幅広いリスクへの対応を重視する場合は、生成AIを活用したサービスが候補になります。一方、自社固有のリスク、過去の違反事例、金融機関特有の表現を反映したモニタリングを重視する場合は、教師データを基にモデルを構築する方式が適しています。
KIBIT Eyeには、次のようなメリットがあります。
KIBIT Eyeの導入にあたっては、次のような準備が必要です。
個社に合わせてモデルを構築するため、導入初日から設定なしで使用するタイプのサービスと比べると、事前の設計や検証が必要です。
一方で、導入前に目的と運用方法を整理することで、自社が発見したいリスクに合わせたモニタリングを実現しやすくなります。
KIBIT Eyeは、次のような金融機関に適しています。
特に、導入の手軽さだけでなく、自社のリスクに合わせた分析精度や運用の定着を重視する金融機関に適しています。
一般企業における導入実績だけでなく、銀行、証券会社、保険会社など、金融機関特有の業務で使用された実績を確認します。導入件数だけでなく、電子メール、応接記録、通話記録など、どのようなデータを対象としているかも重要です。
自社が警戒するリスクを明確にしたうえで、AIの分析方法と適合しているか確認します。
金融機関で想定されるリスクには、次のようなものがあります。
幅広いリスクに対応できることだけでなく、自社で特に注意すべきリスクを精度高く分析できるかが重要です。
一般的なリスクの知識だけではなく、自社で過去に発生した事例や、監査担当者が持つ知見をAIに反映できるか確認します。
金融機関ごとに商品、業務フロー、社内用語が異なるため、個社のデータを活用できることは重要な選定ポイントです。
AIが提示したリスクスコアだけでなく、どの文章や表現を根拠として判断したかを担当者が確認できる必要があります。
判定根拠を確認できれば、担当者による判断や追加調査につなげやすくなります。
自社が分析したいデータに対応しているか確認します。
電子メールだけでなく、Microsoft Teams、LINE WORKS、Bloomberg、通話記録、日報、応接記録など、複数のデータを分析する場合は、データの取得方法や既存システムとの連携方法も確認が必要です。
金融機関では、データの保存場所、暗号化、アクセス権限、外部サービスへのデータ送信など、厳格なセキュリティ要件が求められます。
特に生成AIを活用する場合は、入力したデータが学習に利用されるか、外部環境に保存されるかなどを確認する必要があります。
AIは導入後も、精度や運用方法を継続的に見直す必要があります。
PoC、本運用への移行、モデル改善、対象リスクの追加、担当者向けの支援など、どの範囲までサポートを受けられるか確認します。
金融機関のコンプライアンス部門では、膨大な電子メール、チャット、日報、応接記録、通話記録の中から、限られた人員でリスクの兆候を発見する必要があります。
KIBIT Eyeは、個社の過去事例や調査ノウハウを教師データとして活用し、確認すべきデータを関連度の高い順に抽出します。
キーワード検索では捉えにくい文章の文脈や関連性を分析できるため、監査担当者の確認業務を効率化できます。
また、AIが重要と判断した箇所をハイライト表示できるため、担当者は原文を確認しながら抽出理由を把握できます。
金融機関での導入実績、デジタルフォレンジックで培った不正調査の知見、PoCから運用定着までの支援体制を組み合わせ、金融機関のコンプライアンスモニタリング高度化を支援します。
Q.
A.
予兆検知AIとは、電子メール、チャット、日報、応接記録、通話記録などのデータを分析し、不正やコンプライアンス違反につながる兆候を早期に発見するAIです。
AIがリスクとの関連性が高いデータを抽出することで、担当者によるモニタリングや調査を支援します。
Q.
A.
KIBIT Eyeは、少量の教師データから個社固有のリスクに対応したAIモデルを構築できる点が特徴です。
日本語テキストの文脈や関連性を解析し、キーワード検索では見つけにくいコミュニケーションを抽出します。また、AIが重要と判断した箇所をハイライト表示できます。
Q.
A.
生成AIを活用した予兆検知AIには、教師データを準備せず、幅広いリスクを分析しやすいものがあります。
KIBIT Eyeは、過去の違反事例などを教師データとして使用し、自社が発見したいリスクとの関連性を分析します。
導入の手軽さを重視するか、自社固有のリスクに合わせた分析を重視するかによって、適した方式は異なります。
Q.
A.
KIBIT Eyeでは、発見したいリスクに関係する過去事例などを教師データとして利用します。
大量の学習データを用意する必要はなく、少量のデータからモデルを構築できます。
Q.
A.
不正やコンプライアンス違反の兆候は、電子メールやチャット、日報、通話記録などのコミュニケーションに表れることがあります。
テキスト解析に強いAIを活用することで、人手では確認しきれない大量のデータから、注意すべきコミュニケーションを効率的に抽出できます。
Q.
A.
KIBIT Eyeでは、AIが重要と判断したテキストをハイライト表示できます。
担当者は原文と判定箇所を確認したうえで、追加調査の必要性を判断できます。
Q.
A.
KIBIT Eyeは、不正を自動的に断定するものではありません。
リスクとの関連性が高いデータを抽出し、担当者による確認や調査を支援します。最終的な判断は、担当者が内容や背景を確認したうえで行います。
Q.
A.
金融機関で予兆検知AIを利用する場合は、次の項目を確認する必要があります。