登録・更新のルールがないこと、検索しても必要な情報に届かないこと、現場の業務フローに組み込まれていないことが主な要因です。導入前に責任者、対象データ、利用場面、評価指標を定め、PoCで現場の意見を反映してください。
2022年01月01日配信
契約書の条文、過去の不正調査報告書、社内規程、技術資料──必要な情報が社内に存在するにもかかわらず、検索しても見つからない状態は、ビジネスのスピードを遅らせる要因になります。
「検索結果に必要な文書が表示されない」
「表記が少し違うだけで関連資料を見落とす」
「担当者によって検索結果や判断が変わる」
このような課題を解消するには、検索ツールを導入するだけでは不十分です。データの整備、検索方式、権限設計、運用体制を一体で見直す必要があります。
本記事では、社内ドキュメント検索が失敗する主な原因と、改善策を解説します。あわせて、非構造データの探索基盤を構築するFRONTEOの「KIBIT Libria(キビット・リブリア)」について、活用の考え方を紹介します。
社内ナレッジ共有システムとは、企業内に散在する業務知識、マニュアル、過去事例、技術文書などの情報資産を蓄積し、必要なときに検索・参照できる仕組みです。
法務・コンプライアンス部門では、契約書テンプレート、過去の不正調査報告書、社内規程、法令改正情報など、正確かつ最新の情報へ迅速にアクセスする必要があります。情報が属人化したままでは、対応の遅れや判断のばらつきにつながります。
エンタープライズサーチ、ナレッジベース、文書管理システム、RAG(検索拡張生成)ソリューションなど、目的に応じて複数の形態があります。自社の課題とデータの状態に合った仕組みを選ぶことが、定着と成果の前提です。
「誰が」「いつ」「どの形式で」情報を登録するかが決まっていない状態でシステムを導入すると、登録される情報の質や量にばらつきが生じます。最新版と旧版が混在したり、ファイル名や分類が統一されなかったりすると、検索結果を信頼できません。
導入前に、情報登録のフロー、命名規則、更新頻度、アーカイブの基準を定めてください。特に社内規程や契約書テンプレートは、現行版を判別できるルールが必要です。
キーワード検索だけに頼ると、同義語、表記揺れ、社内独自用語に対応できず、関連文書を見落とすことがあります。「検索しても出てこない」経験が積み重なると、社員はシステムの利用を避け、個人の記憶や担当者への問い合わせに頼るようになります。
特に法務部門が扱う契約関連文書は、類似した条文表現が多く、単純な文字列一致では関連文書を網羅的に発見しにくい領域です。検索語そのものだけでなく、文書の内容や関連性を捉える検索方式を検討してください。
技術資料、検査報告書、作業日報、会議議事録などが、PDF、紙、音声、Excel、Wordといった異なる形式で保存されていると、情報を横断して検索・再利用するための準備に手間がかかります。
ファイルサーバ、チャット、メールなどに情報が分散している場合は、まず検索対象とするデータの範囲を定めましょう。すべての情報を一度に取り込むのではなく、契約審査や不正調査など、効果を測りやすい業務から始める方法が現実的です。
たとえば法務・コンプライアンス部門では、個人情報、内部通報情報、不正調査関連資料、契約上の機密情報など、閲覧範囲を慎重に管理すべき文書を扱います。権限を広く設定すれば情報漏洩のリスクが高まり、狭く設定しすぎれば必要な情報に届かない情報のサイロ化が進みます。
検索システムを選定する際は、文書の閲覧権限と検索結果の表示範囲が整合するかを確認してください。権限のない文書の存在だけが表示される設計では、利用者の混乱を招きます。アクセスログや更新履歴を確認できる仕組みも、導入条件に含める必要があります。
検索画面が用意されても、日常業務の中で使う場面が定義されていなければ、利用は一時的なものになります。検索、参照、判断、結果の登録までの流れを業務に組み込み、誰が改善を担当するのかを決めてください。
PoCでは、検索回数だけを評価するのではなく、目的の文書に到達するまでの時間、関連文書の発見数、担当者による評価などを確認します。現場のフィードバックをもとに検索対象や分類を調整し、本運用へ段階的に移行することが重要です。
同じテーマであっても、文書の種類や作成時期によって表現が異なります。過去の契約書、調査報告書、社内規程、関連するメールや議事録を横断して確認するには、単純な文字列一致だけでは不十分な場合があります。
例えば、守秘義務条項に関する過去の判断を探す場合、「秘密保持」「機密保持」「NDA」などの異なる表現が使われている可能性があります。検索条件を工夫するだけでなく、文書全体の内容や関連性を手がかりに、候補資料を広く発見できる仕組みを検討してください。
また、不正調査や内部通報対応では、検索の速さだけでなく、どの文書を参照したか、どの情報を判断材料としたかを説明できることが求められます。検索基盤を整備する際は、証拠性、アクセス権限、監査ログ、データの更新状態をあわせて確認しましょう。
固有の文書番号や契約番号を探す場合は、キーワード検索が有効です。一方、明確な用語が分からない状態で過去の類似事例や関連する判断材料を探す場合は、文書の類似性や関連性を捉える検索が役立ちます。
KIBIT Libriaでは、キーワード一致だけでなく、テキスト全体の関連性をもとに文書を類似度順で提示する探索が可能です。検索語に含まれていない表現を含む文書でも、内容の関連性から発見できる可能性があります。
検索精度は、検索エンジンだけでなく、投入するデータの状態にも左右されます。文書のカテゴリ、作成日、版、作成部門、機密レベルなどのメタデータを整え、重複文書や旧版文書の扱いを決めてください。
KIBIT Libriaは、PDF、Word、Excelなどさまざまな形式の非構造ドキュメントを取り込み、加工・検索可能なデータ基盤の構築を支援します。ストップワードの設定や類義語の登録など、自然言語処理に必要な操作を利用者自身で行える点も、専門部署での運用を検討する際のポイントです。
※音声テキストの取り扱いは、データ形式や導入要件によって確認が必要です。
RAG(検索拡張生成)は、社内文書を検索し、その結果を生成AIの回答に反映する仕組みです。RAGを導入する場合も、先に検索対象データ、権限、文書の更新状態、検索結果の評価方法を整備してください。KIBIT Libriaでは、専門領域に特化した情報探索の結果を、要約や回答生成などの生成AI活用へつなげることが可能です。
KIBIT Libriaは、社内に蓄積された非構造ドキュメントを検索・分析可能な形に整備し、埋もれた知見を再利用可能なデータ資産として活用するためのソリューションです。
利用者が投入したデータを学習対象とすることで、特定領域の専門用語や固有表現を含むナレッジベースの構築を支援します。法務、コンプライアンス、リスク管理など、社内独自の表現が多い領域で、一般的な検索では見つけにくい情報を探索する基盤として活用できます。
関連性を軸に文書を探索すると、担当者が想定していなかった資料や、直接のキーワードを含まない過去事例にたどり着ける場合があります。過去の判断や知見を再利用し、新たな調査や検討の材料を増やすうえで重要な機能です。
蓄積した情報は、検索だけでなく、社内教育や技能伝承にも活用できます。熟練者の判断や過去の対応記録を整理し、Q&Aデータや教育コンテンツへ展開することで、個人に依存していた知識を組織で共有しやすくなります。
社内ドキュメント検索の改善効果は、岳南建設株式会社の活用事例からも確認できます。送電線工事を手がける岳南建設では、毎朝のTBM-KY(ツールボックスミーティング・危険予知活動)で、当日の作業や天候に類似した過去の災害・事故情報を参照し、安全上の注意点を共有していました。
しかし、災害情報は地域や作成者によって表現が異なり、従来のキーワード検索では目的の事例にたどり着くまで1〜2時間かかることもありました。そこでKIBIT Libriaの「類似文章検索」を活用し、社内で蓄積していた情報に加えて、過去10年分・約2,000件の送電関係の災害データを検索できる環境を整備しました。
導入後は、類似する事故事例を探す作業が5〜10分程度に短縮され、以前と比べて10倍以上のスピードアップを実現しています。表現の揺れがある文書からも関連情報を探し出せることが、現場での安全管理と、経験の浅い担当者による情報活用を支えています。
この事例が示すのは、AI検索を導入すること自体ではなく、具体的な業務に検索を組み込むことの重要性です。法務・コンプライアンス部門でも、契約審査、規程確認、不正調査など、過去の関連情報を参照する場面を一つ選び、検索にかかる時間と到達できた情報を導入前後で比較すると、効果を検証しやすくなります。
詳しい活用内容は、「KIBIT導入事例インタビュー 岳南建設」をご覧ください。
全社一斉導入ではなく、特定部署や特定用途からスモールスタートし、成果を確認しながら横展開する方法が有効です。PoCで具体的な業務改善効果を示すことで、経営層と現場双方の理解を得やすくなります。
検索回数、情報登録件数、検索成功率、目的の文書に到達するまでの時間などのKPIを設定し、定期的に確認しましょう。利用が停滞している部署があれば、操作の複雑さ、検索精度への不満、業務フローとの不整合など、原因を特定して改善します。
情報を登録する側のメリットが見えなければ、蓄積は進みません。既存文書の自動取り込みや入力負担を抑える仕組みを検討し、登録・更新の担当者が継続して運用できる体制を整えてください。
【目的の明確化】契約審査、不正調査、規程確認など、最初に解決する業務を定めていますか
【対象データの把握】文書の種類、形式、保存場所、データ量、更新頻度を確認しましたか
【検索方式の整理】固有語を探す検索と、関連文書を発見する検索を使い分けられますか
【権限要件の確認】部門、プロジェクト、機密レベルごとの閲覧範囲を定義しましたか
【更新・版管理】最新版の判別方法と、旧版・重複文書の扱いを決めましたか
【監査要件の確認】アクセス履歴や検索結果の根拠を確認する必要がありますか
【評価指標の設定】到達時間、検索成功率、関連文書の発見数などを測定できますか
【段階的導入計画】PoCの対象部署、検証期間、本運用への移行条件を定めましたか
【運用責任者の決定】検索環境の改善、データ品質、利用促進を担当する責任者がいますか
社内ドキュメント検索の課題は、検索画面の機能だけで解決するものではありません。データを整備し、目的に応じた検索方式を選び、権限と監査要件を設計したうえで、現場の業務フローに組み込む必要があります。
法務・コンプライアンス部門では、必要な文書を早く見つけることに加え、関連情報を漏れなく確認し、判断の根拠を説明できることが重要です。KIBIT Libriaは、非構造ドキュメントを検索・分析可能な形に整備し、文書の関連性をもとに専門領域の知見を探索する基盤づくりを支援します。
導入を検討する際は、まず対象業務とデータを限定してPoCを実施し、検索精度、到達時間、利用者の評価、権限管理の適合性を確認してください。お客様のデータ形式や業務要件に応じた活用方法について、まずはお気軽にお問い合わせください。
Q.
A.
登録・更新のルールがないこと、検索しても必要な情報に届かないこと、現場の業務フローに組み込まれていないことが主な要因です。導入前に責任者、対象データ、利用場面、評価指標を定め、PoCで現場の意見を反映してください。
Q.
A.
契約番号や固有の文書名を探す場合はキーワード検索が向いています。用語が曖昧なまま過去の類似事例や関連資料を探す場合は、文書全体の内容や類似性をもとに候補を提示する検索が役立ちます。両方を業務目的に応じて使い分けることが重要です。
Q.
A.
公式情報では、PDF、Word、Excelなどの非構造ドキュメントを取り込み、加工・検索可能なデータ基盤を構築できるとされています。実際の対象範囲や音声テキストの取り扱いは、データ形式と要件によって確認が必要です。
Q.
A.
RAGの回答精度は、検索対象データの品質や検索結果の関連性に左右されます。KIBIT Libriaは専門領域の情報探索基盤として活用できますが、生成AIとの連携範囲や提供時期を含め、導入時点の機能と要件を確認してください。
Q.
A.
送電線工事の安全管理におけるTBM-KYで、当日の作業や天候に類似した過去の災害・事故情報を検索しています。KIBIT Libriaの類似文章検索を活用し、過去10年分・約2,000件の送電関係の災害データを検索できる環境を整備しました。その結果、事故事例を探す作業が1〜2時間から5〜10分程度に短縮されました。