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FRONTEOと北海道大学発認定スタートアップ エヌビィー健康研究所、PoC(実証実験)契約を締結

AI創薬「Drug Discovery AI Factory」と抗体医薬品ディスカバリープラットフォーム「MoGRAA」を掛け合わせ、GPCRを標的とする新たな抗体医薬品パイプライン創出を目指す

2025年10月01日配信

 株式会社FRONTEO(本社:東京都港区、代表取締役社長:守本 正宏、以下「FRONTEO」)と、抗体医薬品*1研究開発を専門とする北海道大学発認定スタートアップ企業である株式会社エヌビィー健康研究所(本社:札幌市北区、代表取締役:髙山 喜好、以下「NBHL」)は、FRONTEOのAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(以下「DDAIF」)*2」と、NBHLのGPCR*3を標的とする抗体医薬品創出に特化したプラットフォーム「MoGRAA*4」を掛け合わせ、両社共同での新たな抗体医薬品パイプライン創出に向けた2つのPoC(実証実験)契約を締結したことをお知らせします。

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■両社の特徴

 FRONTEOは、 自社開発の特化型AI「KIBIT(キビット)」の、既知の文献情報から記載のない未知の関連性を発見する独自技術を用いて、疾患関連性の高い未報告の標的分子を抽出し、その根拠となる疾患メカニズムなどの仮説とともに提示するAI創薬支援サービス「DDAIF」を展開しています。DDAIFは、既存の文献に記載のない疾患と標的分子*5の新たな関連性を非連続的に発見できる独自のAI技術と解析手法を駆使し、新規性の高い標的候補や疾患メカニズムを解き明かすことを強みとしています。

 NBHLは、中核技術であるGPCRに対する独自の抗体取得プラットフォーム「MoGRAA」を活用し、複数のシーズを連続的に創出することを強みとしています。MoGRAAは、複雑な構造を持つGPCRに対して高選択性かつその機能を制御できる抗体を効率的に取得することができ、これにより、これまで創薬が難しかったGPCRに対する新規パイプラインの創出を可能としています。

 

■本契約の取り組みについて

 このたびのPoC契約では、両社がそれぞれ独自に保有する創薬プラットフォームを組み合わせ、抗体医薬品のパイプライン創出に向けて、①NBHLが保有する抗体医薬品のパイプラインに対する戦略的付加価値向上、②新規標的探索に向けた検討を実施します。

 GPCRは重要な創薬標的とされ、低分子医薬品*7を中心に数多くの薬が開発されてきました。一方で、オフターゲット*8による副作用等の問題から、開発が断念された例も多く存在します。
本取り組みにおいて、両社はDDAIFとMoGRAA を組み合わせることで、従来は創薬対象化が難しかったGPCRや、疾患との関連が不明確だったGPCRをも標的とした、革新的な医薬品の創出を目指します。さらに、GPCRと疾患の関連を体系的かつ網羅的に解析することで、戦略的なパイプライン創出と新たな創薬プロセスの確立に取り組みます。

 

■創薬エコシステムの構築

 現在、日本政府は、「創薬力向上のための官民協議会」*9を立ち上げるなど、創薬エコシステム構築による創薬力強化を推進しています。このたびのFRONTEOとNBHLによる取り組みは、この方向性にも合致しており、日本発の医薬品創出を促進し、産業競争力の強化や医療安全保障の観点からも大きな意義を持ちます。現行のエコシステムは、実現性や最適性の観点からさまざまな課題が指摘されており、期待される経済効果との間にはギャップが存在します。本取り組みは、そのギャップを埋める新たな解決策の一つとなり、日本の創薬力強化に直接的に貢献するものと考えております。

 

■エヌビィー健康研究所 取締役/CSO(Chief Science Officer) 髙﨑 淳のコメント
「GPCR は多くの疾患で重要な創薬標的である一方、その構造の複雑さから抗体創薬のハードルは高いと言われています。エヌビィー健康研究所はGPCRに対して高選択性かつその機能を制御できる抗体を効率的に取得できるプラットフォーム「MoGRAA」を開発し、GPCRを標的とする抗体医薬品創出を推進しています。今回、FRONTEO社さんの自然言語処理に特化したAI「KIBIT」と創薬研究者およびAIエンジニアの知見を融合したAI創薬支援DDAIFを当社技術と掛け合わせ、GPCR抗体創薬を加速進化する取り組みができることを大変嬉しく思っています。

FRONTEO社さんの技術および研究チームと協働し、当社が保有する抗体医薬品候補の医薬品としての潜在価値を引き出すとともに、新たな疾患とGPCRの関連性の発掘を通して革新的な抗体医薬品の創製を行っていきます。世界中の多くの患者様に画期的で有用な治療薬を継続的に届けられるよう、本取り組みを推進してきたいと思います。」

 

■株式会社FRONTEO 取締役/CSO(Chief Science Officer) 豊柴 博義のコメント

「FRONTEOは、AI創薬事業において、自然言語処理に特化したAI『KIBIT(キビット)』と創薬研究者およびAIエンジニアの知見を融合し、疾患関連遺伝子ネットワークの解析や、標的候補に関する仮説の構築を通じ、医薬品開発における研究者の意思決定を強力にサポートするAI創薬支援サービスDDAIFを展開しています。今回、独自の抗体医薬品の開発プラットフォームとそこから見出された複数の医薬品パイプラインを保有しているNBHLと本取り組みができることを大変嬉しく思っています。当社は『FRONTEO共創型エコシステム』*10として複数の優れた技術を持つパートナーと医薬品の研究開発を共創していく研究方針を打ち出しており、今回の取り組みはまさにその好事例となると考えています。

当社は仮説生成に基づくパイプラインの新規創出・評価や付加価値付けを強みとしており、優れたパイプラインと技術プラットフォームを保有するNBHLはまさに理想的なパートナーであると捉えています。当社の標的分子と疾患の関連性を非連続的に明らかにし、それに基づく仮説を組み上げる技術と、NBHLの抗体に関する深い知見や抗体を取得する独自技術とのシナジーによって、すべてのGPCRと疾患の関連を明らかにし、革新的な医薬品の創出や患者のQOL(生活の質)向上につなげていきたいと思います。」

 

FRONTEOとNBHLは、それぞれの技術と知見を活用し、さらにそのシナジー効果を最大限に発揮することを通して、革新的医薬品ならびに治療法の研究開発、医学・薬学研究の進展、医薬品産業の発展、医療の質ならびに患者のQOL向上に貢献します。「日本を再び創薬の地」に、そして医薬品産業を自動車、半導体に次ぐ基幹産業へと成長させることに貢献し、薬を必要としているすべての人に適切な薬が届けられるようなフェアな世界を目指してまいります。

 

*1 抗体医薬品:抗原(体にとって異物となり、免疫反応を引き起こす物質。ウィルス、アレルギー原因物質、がん細胞表面の特徴的なタンパク質など)と結合して無毒化する「抗体」を、遺伝子組換え技術などを応用して人工的に作製し、医薬品としたもの。抗原を持たない細胞や組織には影響を与えないため、副作用が少なくより高い治療効果が期待できる点が特徴とされる。

*2 DDAIF:AIと創薬に精通したFRONTEOの創薬エキスパートが、自社開発の特化型AI「KIBIT(キビット)」の自然言語処理技術と独自の解析手法を駆使し、標的分子・適応症探索やその裏付けとなる仮説を提供するAI創薬支援サービス。

*3 GPCR:細胞膜上にある受容体。細胞外からのさまざまなシグナルを細胞内に伝える機能を持つ。ヒトには約800種類存在し、多様な疾患に関与していることから重要な創薬標的分子とされ、多くの既存医薬品の標的となっている。

*4 MoGRAA:NBHLが独自に開発した抗体医薬品ディスカバリープラットフォーム。特に創薬標的として重要なGPCRに対し、高効率かつ高選択性の抗体取得を可能とする技術。

*5 標的分子:薬を作用させる対象とする分子(遺伝子)のこと。

*6 選択性:薬が他の部位と比べてある特定の部位に作用する程度。

*7 低分子医薬品:分子量(分子を構成する原子量の総和)が500以下の、比較的分子量の小さな化学合成により製造される医薬品。現在の医薬品の大部分を占める。

*8 オフターゲット:薬が本来作用すべき標的以外の分子にも作用してしまうこと。

*9 内閣府「創薬力向上のための官民協議会」, https://www8.cao.go.jp/iryou/kanmin_kyogikai.html

*10 FRONTEO共創型エコシステム:FRONTEOが提唱する研究開発方針。複数の優れた技術や知見を持つパートナーとの協働を通じて、新たな創薬プロセスや革新的医薬品を共に創出する仕組み。

 

■株式会社エヌビィー健康研究所について

株式会社エヌビィー健康研究所(NBHL)は、抗体医薬品の研究開発に特化したバイオテクノロジー企業です。特に、創薬標的として重要でありながら従来開発が難しかったGPCRに対し、独自の抗体医薬品創出技術であるプラットフォーム「MoGRAA」を用いた創薬アプローチを推進しています。

NBHLは、MoGRAAを基盤に高効率かつ高選択性の抗体取得を可能にし、これまで低分子医薬品では副作用の課題から開発が断念されてきたGPCRを新たな治療標的へと変えることを目指しています。すでに複数の有望な医薬品パイプラインを保有しており、希少疾患やアンメット・メディカル・ニーズが高い領域に向けて研究開発を加速しています。

また、国内外のパートナー企業や研究機関との連携を積極的に進めることで、革新的な抗体医薬品の創出を通じて、人々の健康と医療の発展に貢献することを使命としています。

 

エヌビィー健康研究所のMoGRAAプラットフォームについて

NBHLが独自に開発した「MoGRAA(Monoclonal antibody Generation platform for Receptors Against All GPCRs)」は、GPCRを標的とした抗体医薬品創出に特化したプラットフォームです。GPCRは多くの薬の標的でありながら、構造の複雑さから抗体創薬が困難とされてきました。

MoGRAAは、こうした課題を克服し、GPCRに対して高選択性かつその機能を制御できる抗体を効率的に取得可能にします。これにより、これまで創薬が難しかったGPCRに対する新規パイプラインの創出を可能とし、アンメット・メディカル・ニーズに応える革新的な治療薬開発を推進しています。

 

FRONTEO Drug Discovery AI FactoryDDAIF)について

URL:https://lifescience.fronteo.com/products/drug-discovery-ai-factory/

FRONTEO Drug Discovery AI FactoryDDAIF)」は、自然言語処理に特化したAIKIBIT(キビット)」(日米特許取得済)と、FRONTEOの創薬研究者およびAIエンジニアの知見を融合したAI創薬支援サービスです。疾患関連遺伝子ネットワークの解析や、標的候補に関する仮説の構築を通じ、医薬品開発における研究者の意思決定を強力にサポートします。

本サービスはすでに複数の大手製薬企業で導入されており、実績を積み重ねています。

【参考:製薬企業との共創プロジェクト】

【参考:アカデミアとの共同研究プロジェクト】

 

■株式会社FRONTEOについて URL: https://www.fronteo.com/

FRONTEOは、自社開発の特化型AIKIBIT(キビット)」の提供を通じて、日夜、社会課題と向き合う各分野の専門家の判断を支援し、イノベーションの起点を創造しています。当社独自の自然言語処理技術(日米欧特許取得)は、汎用型AIとは異なり、教師データの量およびコンピューティングパワーに依存することなく、高速かつ高精度での解析を可能にします。加えて、解析した情報をマップ化(構造を可視化)する特許技術を活用することで、「KIBIT」が専門家のインサイトにダイレクトに働きかけることができ、近年、KIBITの技術が創薬の仮説生成や標的探索にも生かされています。

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KIBITの独自技術およびアプローチを通じて、「記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する」理念の実現に向けて、ライフサイエンスAI、リスクマネジメント(ビジネスインテリジェンス・コンプライアンス支援分野経済安全保障分野リーガルテックAI分野)、DXビジネスインテリジェンス・プロフェッショナル支援分野)の各事業で社会実装を推進しています。

 

2003年8月創業、2007626日東証マザーズ(現:東証グロース)上場。日本、米国、韓国、台湾で事業を展開。第一種医療機器製造販売業許可取得、管理医療機器販売業届出。資本金899,176千円(2025年3月31日時点)。

 

Drug Discovery AI Factory使われている技術FRONTEO日本および韓国、米国、欧州21特許権取得しています

FRONTEOKIBITDrug Discovery AI FactoryFRONTEO日本および韓国、米国、欧州における商標または登録商標です

 

 

<報道関係者のお問い合わせ先>

株式会社エヌビィー健康研究所 広報担当 nb_press@nbhl.co.jp 電話:011-708-7156

株式会社FRONTEO 広報担当 pr_contact@fronteo.com 電話:080-4321-6692