Legalweek New Yorkの会場で、訴訟大国アメリカでのeDiscoveryの「普通さ」を再認識
今回のLegalweek New York 2019の会場を隈なく歩いてみて感じたのは、どの企業もツール単体の性能をアピールする時期は終わり、プラットフォームとして打ち出す時期にきているという、市場としての成熟度の高まりでした。eDiscoveryはもはや特別なものではなくなり、訴訟に対応するのになくてはならない「普通」のプロセスとなっているように見受けられたということです。FRONTEOの強みとしてこれまで注目されてきたpredictive coding技術*を自社のソリューションに取り入れる企業も増えてきており、各社、技術革新にしのぎを削っている状況です。そのような中、新たな技術も次々と生み出されてきており、特にDISCO社とEverlaw社、CloudNine社は、ブースでそれぞれのプラットフォームのデモンストレーションを積極的に行っていました。クラウドを活用した全社規模のeDiscoveryサービス(DISCO社)や、ダークデータ(簡単に検索できない電子データのこと。例えば音声データや動画データ、外国語で記録されたデータ、チャットでの会話など)に潜む危険性とその対応策(Everlaw社)、eDiscoveryプロセスをエンドツーエンドで一気通貫して行える新製品群(CloudNine社)のデモンストレーションには、来場者から熱い視線が注がれていたように思います。
*Predictive Coding:証拠として重要と判断される文章の自動振り分け機能。参照先はFRONTEOが独自開発した人工知能「KIBIT」によるPredictive Coding(参照:YouTube https://youtu.be/MWHlJpTFW2E)
黎明期を過ぎ、普及期に入った機械学習
アメリカでも日本でもすでにAIを活用したソリューションが多数登場してきていますが、もはや「どのように機械学習を使うことで、実際どのくらいの効果が出せるのか、使えるか」だけではなく、「学習時のコストはどうか、また、どの業務フローのどの部分で使うのか」という普及期(実際の活用)に向けての適用の仕方の工夫や効果を問う段階に状況が進んできていると思います。
FRONTEOも例外ではなく、eDiscoveryにおけるドキュメントレビュー作業担当者の負担を減らし、効率を向上させ、レビューの品質を高めることを目的としたドキュメントレビューツールを開発・提供しており、当該ツールには独自に開発したAI「KIBIT」が搭載されています。今回Legalweek New York 2019のFRONTEOブースで紹介したレビューツール「KIBIT Automator」を例に挙げますと、依頼主(主に弁護士事務所)から提供してもらった教師データ(「このような文書を見つけてほしい」もしくは「これは関係ない」というデータ)をKIBITが学習します。それらの教師データに対して形態素解析や加重計算、複数回に及ぶ最適化を行ったのち、レビュー対象となる文書をとりこんで、形態素解析、スコアリングを行ったものがレビューに回されるのですが、レビューする必要がないドキュメントを見つけ出し、レビュー量そのものを減らしたり、レビューに回される時点で、特に注意が必要な個所がハイライト表示されるなど、レビュー担当者が実際に読まなければならない文章量を減らすための工夫がなされています。その結果、人力でレビューできる分量(レビュー担当者の習熟度、スキルにもよりますが)を飛躍的にスピードアップさせることが可能です。
ドキュメントレビューにかかる費用や期間、レビューのボリューム、レビュー担当者のレビュースピードやスキルは、お客様や弁護士事務所の懸念事項として常に上がってくるものです。KIBIT Automatorを活用することで、レビューにかかる時間を短縮することが可能となり、レビュー担当者のスキルや疲労度に左右されないクオリティでのドキュメントレビューが提供できるようになります。