業績・財務

経営成績サマリー

売上高7,215 百万円前年同期増減率
-34.0 %
営業利益△1,361 百万円前年同期増減率
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経常利益△1,292 百万円前年同期増減率
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親会社株主に帰属する当期純利益△1,701 百万円前年同期増減率
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1株当たり当期純利益△43.27前年同期増減率
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経営成績

当社グループは「Bright Valueの実現~記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する~」という企業理念のもと、独自開発の人工知能(AI)エンジン「KIBIT(キビット)」(*)を活用した高度な情報解析技術を駆使し、祖業である国際訴訟支援、不正調査から製造、金融、小売、流通、そして医療分野といった様々なフィールドで、必要かつ適切な情報に出会えるフェアな世界の実現及び社会課題の解決に貢献しております。

(*)2023年4月1日より、FRONTEOのAI設計思想の一層の追求と、顧客への認知促進を図ることを目的に、従来よりAIエンジン名として使われていた「KIBIT」、「Concept Encoder(コンセプトエンコーダー)」及び「LoocaCross(ルーカクロス)」の3つの名称の併用を取りやめ、「KIBIT」に名称を統一するとともに、各製品名に同名称を冠しております。「KIBIT」は、FRONTEOのAI設計思想である人間の思考プロセスや判断を、数学的アプローチで表現し、「あいまい性」をあえて許容することにより、小型で高精度での解析を実現したAIエンジンです。

ライフサイエンスAI分野の中のAI創薬領域においては、”FRONTEO Drug Discovery AI Factory”(以下、DD-AIF)構想を打ち出し、立ち上げに向けた準備を進めております。
一般的な創薬プロセスにおいて、創薬能力向上のボトルネックになっているのは、創薬プロセスの最上流工程である標的同定プロセスですが、既存の方法による同プロセスの改善には多大な時間と費用がかかると言われております。そのため、創薬研究者は、創薬能力を向上させるべく、標的同定プロセスの効率化・高度化のために既存の方法を打破するイノベーションを起こすという思いを抱いています。
上述の創薬研究者の思いと、FRONTEOの理念であるフェアネスの実現、そして当社のコアコンピタンスである独自言語解析AIである「KIBIT」が融合したことで、わが国の創薬研究の一線級の研究者たちがFRONTEOに集結し、DD-AIF構想を打ち出しました。DD-AIFは、創薬研究者、バイオロジスト、データサイエンティスト、AIエンジンである「KIBIT」及び「KIBIT」を搭載した様々な自社開発アプリケーションで構成されます。
当社は、製薬企業、創薬ベンチャーなどからの標的分子探索・選定などのオーダーに対して、DD-AIFにおいて、FRONTEO独自の5つの創薬テクノロジーメソッド(Drug Discovery Best Known Method 以下、DD-BKM)と、DD-BKMを複合的に組み合わせたレシピを駆使することで、網羅的かつノンバイアスな探索・評価を行い、通常の創薬プロセスの数十倍以上の効率性を持つ革新的な受託サービスの提供を本格稼働いたします。
また、DD-AIFを構成するアプリケーションの一つである、「KIBIT liGALILEO(キビットリガリレオ)」の解析対象である標的遺伝子・分子について評価を行う対象疾患を、従来の1,500疾患から1万2,000疾患に拡充するなど、DD-AIFの機能強化も順調に進捗しており、AI創薬事業の事業拡大に向け推進してまいります。
続けて、医療機器領域における、「会話型認知症診断支援AIプログラム」に関しては、第2四半期連結会計期間で公表しました通り、会話の音声を入力データとするプログラム(自動音声書き起こし機能付きプログラム)の開発に一本化して、着実に開発を進めております。また、開発プロセスで収集された質の高いデータセットや開発ノウハウを活用した民生品につきましても並行して開発を進めてまいります。
なお、「統合失調症診断支援AIプログラム」及び「うつ病診断支援AIプログラム」などその他の製品につきましても、順調に開発を進めております。

ビジネスインテリジェンス分野につきましては、メール&チャット監査システム「KIBIT Communication Meter(キビットコミュニケーションメーター)」の受注は堅調に推移し、「お客様の声」の分析を行う「KIBIT WordSonar for VoiceView(キビットワードソナーフォーボイスビュー)」に関しても複数の企業との間で導入に向けた協議を継続するなど、当社AI技術の優位性は引続き揺るがないと考えております。さらに、当第4四半期連結会計期間において、新たなAIエンジンを搭載した平時監査システム「KIBIT Eye(キビットアイ)」を発表いたしました。「KIBIT Eye」は、人の優れた直観的な判断能力をAIで再現することで、従来の製品よりも精度が更に向上しております。今後も顧客企業における平時監査業務の効率化・高度化を支援し、不正・不祥事の予防と早期発見に貢献してまいります。

ビジネスインテリジェンス分野の当連結会計年度の売上高は前年度比較で増収となりましたが、営業体制強化に向けた人的投資の推進に遅れが生じた影響で、当初想定していたほどの増収には至りませんでした。営業体制強化は当第4四半期連結会計期間において一定程度の進捗をしておりますが、来期の売上高増加に見合った人的投資は引き続き継続してまいります。DXを推進する市場は今後も引続き旺盛であると認識しており、今後も市場は成長していくと考えております。このような市場環境において、当社の認知度を高め、パイプラインを積上げることで、引き続き事業を拡大してまいります。

経済安全保障分野につきましては、2022年5月に経済安全保障推進法が成立し、官庁と民間企業双方での経済安全保障への関心は一層高くなっており、お問合せは増加傾向にあります。当連結会計年度においては、経済安全保障分野における複数の特許査定を取得するなど、事業の本格化に向けて進捗しております。引き続き、各所各社のニーズを把握し、的確なソリューションを提供することで事業の拡大に努めてまいります。

リーガルテックAI事業は大型案件の積上げが少なく、当第4四半期連結会計期間の当該事業における売上高は第3四半期連結会計期間を下回り、低調に推移いたしました。営業体制強化に向けた人的投資の推進に遅れが生じましたが、当第4四半期連結会計期間において、営業体制強化は一定程度の進捗をしております。来期の売上高の回復に向けて、当社ポータルサイト「FRONTEO Legal Link Portal」を利用したマーケティング活動や営業活動量を増加させることで、顧客基盤の強化と拡大を図ってまいります。

以上の結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高7,215,270千円(前年同期比34.0%減)、営業損失1,361,990千円(前年同期は1,721,714千円の営業利益)、経常損失1,292,518千円(前年同期は1,687,434千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失1,701,317千円(前年同期は1,308,760千円の親会社株主に帰属する当期純利益)と前年同期を下回る結果となりました。なお、不正アクセス対策費用に対する受取保険金として54,648千円を特別利益に、非AIビジネスの戦略的縮小に伴うコスト構造最適化を目的とした構造改革費用として258,876千円、不正アクセス対応のための情報セキュリティ対策費として223,997千円を特別損失に計上しております。

事業セグメント(四半期累計期間)

単位(百万円)
セグメント名称第1四半期
(1Q)
第2四半期
(2Q)
第3四半期
(3Q)
第4四半期
(4Q)
リーガルテックAI1,5813,1824,3135,364
AIソリューション5309691,4091,850

財政状況サマリー

総資産9,145 百万円前期末比
-22.6 %
純資産5,050 百万円前期末比
-21.5 %
自己資本比率53.1前期末比
-0.2 point

財政状況

(資産)
総資産は、前連結会計年度末と比べて2,679,900千円減少し、9,145,229千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比べて2,278,263千円減少し、3,663,138千円となりました。これは主に、配当金の支払、借入金の返済、インシデント関連の支払に加えて、人的投資やセキュリティ強化の先行投資を行ったことなどにより現金及び預金が1,985,728千円減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末と比べて401,636千円減少し、5,482,091千円となりました。これは主に、減価償却や米国子会社における構造改革に伴うオフィスやデータセンターの閉鎖により使用権資産が244,353千円減少したことによるものであります。

(負債)
負債合計は、前連結会計年度末と比べて1,289,020千円減少し、4,095,178千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末と比べて390,667千円減少し、2,209,173千円となりました。これは主に、借入実行により短期借入金が500,000千円増加した一方で、未払法人税等が255,246千円減少、1年内返済予定の長期借入金が93,442千円減少、リース債務が172,637千円減少、その他(未払費用や未払消費税等)が354,263千円減少したものであります。
固定負債は、前連結会計年度末と比べて898,353千円減少し、1,886,004千円となりました。これは主に、流動負債に振り替えたことにより長期借入金が729,815千円、リース債務が162,522千円減少したことによるものであります。

(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末と比べて1,390,879千円減少し、5,050,051千円となりました。これは主に円安の影響により為替換算調整勘定が474,882千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことや、配当による取崩により利益剰余金が1,976,510千円減少したことによるものであります。

キャッシュ・フローの状況サマリー

営業活動によるキャッシュ・フロー△914 百万円
投資活動によるキャッシュ・フロー△625 百万円
財務活動によるキャッシュ・フロー△606 百万円
現金及び現金同等物の期末残高1,471 百万円

キャッシュ・フローの状況

(キャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,471,656千円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少した資金は914,615千円(前年同期比3,290,946千円の収入の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失を計上したことや、情報セキュリティ対策費の支払によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は625,060千円(前年同期比6,852千円の支出の増加)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出452,292千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は606,324千円(前年同期比853,399千円の支出の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出823,258千円、配当金の支払いによる支出275,193千円によるものであります。